銀行カードローン| 総量規制対象外のカードローンを比較する
2010年の貸金業法の改正以降、消費者金融の融資限度額が年収の3分の1位までに制限され、それ以降自己破産者は減少を続けていましたが、最近になって自己破産をする人が増えています。
原因は銀行のカードローンの利用者が増えたためで、2010年には銀行カードローンの利用者も少なかったことからその規制をまぬがれましたが、その結果、銀行カードローンの貸付残高が急増し5年間で1.5倍まで増え、カードローンが拡大するとともに多重債務問題が再燃しています。
1.銀行カードローンは総量規制の対象外
銀行はカードローンなどの個人融資の拡大に力を入れています。それはマイナス金利政策の影響を受け、企業向け融資の利益が減少している事が挙げられます。
一方でこのような低金利の時代でもカードローンは10%以上の金利収入が見込めるので、軸足を大口融資から個人融資に切り替え、多くの銀行は、カードローンの顧客獲得に努めています。
消費者金融が「サラ金」などと呼ばれていた時、返済が続けられなくなった利用者は、借金を返すためにさらに借金を重ねるという、自転車操業を繰り返したことで多重債務者が増えた事が社会問題となりました。
そのため、金融庁は消費者金融を守るという立場から、2010年6月、貸金業法を改正し、上限金利の引き下げや、総量規制で融資限度額は年収の3分の1までに制限する法律を導入しました。
しかし、銀行や信用金庫、信用組合などの金融機関は銀行法が適用されるので、貸金業法の対象になりません。
そのため、銀行カードローンは総量規制の対象外になり、融資限度額の制限もなく、収入証明書の提出なども不要で融資を続けた事から銀行カードローンの多重債務者が急増します。
そういった実情から銀行は、日弁連からの指摘を受け自主規制をするようになり、商品広告の表現を抑えるようになりました。
しかし、銀行のカードローンは、今でも依然として、返済能力を上回る融資が行われているという声も少なくありません。
2.銀行カードローンはおいしいビジネス
銀行のカードローンの過剰融資が問題化してから何年にもなりますが、銀行カードローンから撤退するという銀行はありません。というのも、銀行にとって、カードローンと言う商品はノーリスク、ハイリターンの商品だからです。
理由のひとつは、超低金利時代になっても10%以上の金利収入がある事や、銀行ならではの顧客との接点を生かして新規開拓が容易にできるのも大きな特長です。
また、消費者金融の場合、いくら無人契約機で申込が簡素化されたと言っても、そこへ行く事で人に顔を見られないかと言う心配や、会社に在籍確認の電話が入るという事も利用しにくいという一面があります。
利用者の住所などの個人情報もすでにわかっているので、ダイレクトメールを送ることも可能ですし、銀行によってはATMを利用するだけで「このままカードローンの申し込みができます」と表示されるところもあり、簡単に申込が出来ます。
そのように簡単に貸出しをすれば、貸し倒れなどのリスクが心配ですが、多くの銀行は保証会社が保証しなければ融資が受けられないという条件になっています。そのため、万一申込者が返済できなくなっても保証会社が代位弁済を擦るので、銀行は貸し倒れというリスクはありません。
ですから、銀行は申込者の受付だけで、保証会社が審査や申込者の保証をするので、銀行側としては顧客獲得だけを考えていればよい事になります。しかし、このような事が続けばさらに借金に苦しむ人や債務整理をする人が増え続ける事になります。
3.銀行カードローンの問題点
問題点のひとつは過剰宣伝にあります(現在は自主規制で少なくなった)
- おまとめ目的での借入が可能
- 年収に関係なく融資が受けられる。
- 収入証明書類は300万円まで不要
- 専業主婦でも借入可能
こういった宣伝は総量規制対象外である銀行カードローンだから出来る事で、特に「おまとめ」として利用する事で、消費者金融でまとめる時は「おまとめローン」でなければまとめられませんが、
銀行カードローンの場合は一般カードローンをおまとめに利用できるという宣伝をしてきたため、多重債務者など、返済不能に陥りやすい人が申込みに殺到してし、結果過剰融資となり、自己破産者が増加したのではないかという事を指摘されています。
銀行カードローンは、ほとんどが「無担保・無保証人」で申込が出来ます。
ただし、銀行が指定する「保証会社」の保証を受ける事が必要で、保証会社は、
- 銀行に代わって、審査を行い、可決や否決、限度額を決定する
- 利用者が返済できなくなった時は、代位弁済で本人に代わって返済する。
- 代位弁済を行った利用者に対して、督促や債権回収を行い、場合によっては債権回収会社に債権を売却する
などが保証会社の業務になります。銀行カードローンの保証会社は、銀行グループ内の大手消費者金融やクレジット会社が保証会社となっています。
消費者金融が審査をするため「銀行カードローンは、単にカードローンの受付窓口になっているだけで、消費者金融が審査を行い、保証会社として保証をしているのなら、事実上、消費者金融への“銀行の看板貸し”ではないか」声もあります。
3. 銀行カードローンも総量規制の対象にするべき
銀行カードローンで多重債務者が増加したことについて、日弁連は銀行カードローンが、総量規制の対象外であることから多重債務の増加に繋がっていると指摘し、銀行カードローンも総量規制の対象にする事を求めていますが、現状は銀行が自粛するというだけで、法的な規制を受けているわけではありません。
4.まとめ
カードローンを利用する時に気を付けなくてはならないのが、借過ぎてしまったことで返済が困難になってしまう事です。カードローンは毎月一定額ずつ返済すればよいので、借り過ぎさえしなければ、返済に困る事はあまりないはずです。
最もいけないのは借入限度額に余裕が有る時「借りたら何とかなる」という安易な考えで借り過ぎてしまう事です。カードローン地獄に落ちない為には、事前に返済シミュレーションなどを利用し、余裕のある返済計画を立てる事が重要です。